理系人間が解釈する般若心経

感情をどうコントロールすべきか?

 現世の人間として正しく修行を行うためにはどう行動すべきであろうか?
 そのために感情をどうコントロールすべきかを考えてみる。
 「相対的とは?」でも述べたように、感情は絶対的なものではないので、物、人間、事象、経験、行動などの比較から生れるものと考えられる。
 
 感情には、大きく分けると「ネガティブな感情」と「ポジティブな感情」の2つがあるが、それぞれ具体的にはどういうものがあるかを考えてみる。それぞれの感情は、さらに「能動的」なものと「受動的」なものに分けられる。

 感情を分類すると、次のようになる。

感情

ネガティブな感情
│├能動的(対象は自分以外の人):小我
││├支配(権力)、怒り、非難、批判、嫉妬、妬み、嫉み、憎悪、頑固、執着、疑念
││├恨み、イライラ
││├自己顕示(自分が優れていることを認めさせたい)、自分と価値観の違う人を排除したくなる
││└独占、傲慢、いじめたい、反抗、卑怯、人の不幸・欠点・失敗を喜ぶ、不満を持つ、裏切り
││
│└受動的
│ ├無気力、無感動、無関心、人任せ、怠惰、現実逃避、劣等感、不安、失望、ショック、卑屈
│ ├コンプレックス、悲観的、恐怖、困惑、後悔、諦め、焦り、虚無感、脱力感、悩み、悲しみ
│ └目標・目的の不在、自分が認めてもらえない、理不尽、臆病

ポジティブな感情
 ├能動的(対象は自分以外の人):大我
 │├感謝、奉仕、献身、同情、愛、思いやり、謙虚、誠実、尊敬、素直、冷静、寛容、忠義
 │├親切、期待する(希望を持つ)、信じる、努力、協力、正直(自分をオープンにする)
 │└人の成功・幸福を願う(喜ぶ)、人のために自分を犠牲にする
 │
 └受動的
  ├安心、感動、満足、充実、幸福(嬉しい、楽しい、気持ちいい)
  └誇らしい、おかしい(笑い)、わくわくする、リラックス

 これらの4つの感情について、それぞれどうコントロールして、どう行動すべきかを考えてみると・・・。

能動的なネガティブな感情
支配(権力)、怒り、非難、批判、嫉妬、妬み、嫉み、憎悪、頑固、執着、疑念、恨み、イライラ、自己顕示(自分が優れていることを認めさせたい)、自分と価値観の違う人を排除したくなる、卑怯、人の不幸・欠点・失敗を喜ぶ、不満を持つ、裏切り
 誰でもこのような感情を持つ事はある。・・・なぜだろうか?

 これらの感情には現世の人間の「色(肉体)」としての側面から生じるものが多い。
 人間も生き物の一つであるから、生き物としての基本的な本能を持っている。
 人間という種を絶やさず、より繁栄させるためには、より優れた異性を選んで生殖を行いたいという欲を誰もが本能的に持っている。そのためには自分を他者より良く見せるように振舞う。
 また自然の動物は弱肉強食の世界で生きている。卑怯な事をしてでも相手を倒さないと自分がやられるという危機感がある。
 このような理由から、生き物としての人間の本能に従う結果、他の人間はともかく、自分が他者より優れた存在であろうとする感情を持って行動を取る。しかし実際に自分が他者と比べて抜きん出るという事は容易ではない。
 感情は相対的なものなので、自分が努力を積み重ねて優れた存在になるよりは、他者を批判して、相対的に自分より劣った存在であることをアピールした方が容易である。関連「相対的とは?
 それが他者に対するネガティブな感情になる。

 この感情は自分が抱くだけではなく、周囲にも波及する。
 他の人が「ズルいことをやっているから」「怠けているから」「人に迷惑を掛けているから」自分も少しくらいやっても問題ないだろうと思ったり、自分が実際にそうしたりしていても人にわからなきゃいいやと思う。・・・ということで自分にもネガティブな感情が生まれる。
 まねをするのは人間が元々持っている習性である。 関連:「まねをする(後出)」
 ネガティブな感情を持った自分のふるまいによってさらに自分の周りの人に波及し、ネガティブな「場」を形成してしまう。これは避けないといけない。

 「空」としての側面からも、魂のプログラムにとって、現世の人間が絶滅してしまうと、霊界にいる霊が修業をするための「場」が失われてしまう。これを避けようとするのは当然である。

 しかしこれらのネガティブな感情という逆風を克服することも、現世での修業における大きな課題である。
 霊的真理を理解すれば、「個」としての人間が他の人間を蹴落すことは、全体のメリットにはならないことがわかる。自分は全体の一部であり、他者もまた全体の一部である。自分と他者との優劣をつける事は意味がない。
 世の中全体が良い方向に行くために、自分が何をすべきかを考えて行動すべきである。

 「個」としての自分が不利な状況に陥ることをされても、それが「世のため人のため」には不利な状況になるわけではない事が冷静に判断できるようになって腹を立てなくなったら、それは現世での修行が進んでいる証拠である。


受動的なネガティブな感情
無気力、無感動、無関心、人任せ、怠惰、現実逃避、劣等感、不安、失望、ショック、卑屈
コンプレックス、悲観的、恐怖、諦め、焦り、虚無感、脱力感、悩み、悲しみ
目標・目的の不在、自分が認めてもらえない、臆病
 感情は相対的なものなので、比較してそのありがたみを感じるためには、ネガティブな感情を持つ事もまた必要である。
 ネガティブな状態の経験が多いほどポジティブな感情が実感できる。
 つらい経験がなければネガティブな感情を持った人の気持ちがわからないし、自分が良い状態になった時にそれを感じにくくなる。例えば、病気で長い期間、苦しい思いをした経験がある方が、健康のありがたみが人一倍わかるようになる。
 自分がネガティブであった時期のつらさを忘れないようにする事が大事である。人間、好転するとつらかった時のことはなぜか簡単に忘れてしまう。忘れないためには日記などにつらい時期の気持ちを残すといいかも知れない。しかし、調子の良い時にそれを見返すというのもなかなかできない事である。


能動的なポジティブな感情
感謝、奉仕、献身、同情、愛、思いやり、謙虚、誠実、尊敬、素直、親切、期待(希望を持つ)、信じる、努力
人の成功・幸福を願う(喜ぶ)、人のためになることであれば自分が辛抱する
 自分がこのような感情を持ち続けるように行動する事で、周りの人に良い影響を与えるようになるべきである。
 背伸びをすることなく、自分の役割を自覚して行動することが大事である。
 例えば人から「あの人はイキイキと行動しているな。自分もどうしたらそうなれるのだろう?」と思われるようになれば良い。しかし、優越感を持ってしまってそれが人を見下すような行動に表れるとネガティブな感情になってしまうので注意が必要である。「謙虚であれ」というのは、こういう事を言っているのだろう。

 正しいと思うことをやっていても批判されて迷う事はある。「正しい」というのは絶対的ではなく相対的な概念である。その時置かれている状況や、その時代の価値観によって何が「正しい」かも異なる。その場合、よりどころになるのは「世の中全体のためになるかどうか」である。
 自分が正しいと判断すれば、人がどう思おうと自分が考えた通りに行動すれば良いし(理解をしてもらう努力は必要であるが)、後でその行動が誤りであった事がわかっても、反省して成長することができる。


受動的なポジティブな感情
安心、感動、満足、充実、幸福(嬉しい、楽しい、気持ちいい)
誇らしい、おかしい(笑い)、わくわくする、リラックス、達成感
 例えばそこに笑いがあり、多くの人が充実感を持って仕事をしているような職場は、そうでない人にも影響を与えてイキイキとさせる。
 それは家庭や学校などの人が集まって同じ目的に向かって努力する場所でも同じである。
 このようなポジティブな「場」を作る事は重要である。


 能動的及び受動的なネガティブな感情は、主に「価値観」で述べた「現世の物質的価値観」によって生れる感情と言える。 (これらの感情は、主に金銭的な価値や肩書き、名声、世間体などに関連している)
 これに対してポジティブな感情は、主に魂(心)の価値観によって生れる。(物質的でないので金銭に換算できない)

 上記のように4つに分類した感情は、一般的に言われている「喜怒哀楽」に対応させると次のようになる

 喜 ・・・・・ 能動的なポジティブな感情
 怒 ・・・・・ 能動的なネガティブな感情
 哀 ・・・・・ 受動的なネガティブな感情
 楽 ・・・・・ 受動的なポジティブな感情

 これらの感情は自分の考え方や行動によってある程度変えることができる。

 例えば「祭り」の時に起こる感情は

 喜:祭りに積極的に参加できて嬉しい。人を楽しませると自分も楽しい。
 怒:楽しそうにやっている奴らを見ると腹が立つ。
 哀:祭りに参加できなくてさびしい。どうせ自分なんか仲間に入れてもらえない。
 楽:祭りを見ると楽しい気分になる。

 ・・・のように対象が同じ「祭り」であっても、自分がどう考えてどう行動するかで「祭り」に対する感情を
 変えることができる。

 それでは「職場に急に実力をつけてきた同僚がいるような場合」はどうだろうか?

 喜:いい目標ができた。彼に負けないように、自分もがんばろう。
 怒:自分の存在を脅かすかもしれない。仕事を妨害してやろう。失敗を言いふらしてやろう。
   それで彼の評価を下げてやろう。
 哀:ああいう優秀な人間には、自分は到底かなわない。自分の無能さを思い知るのはつらい。
 楽:同じ職場にあんな優秀な人がいるのはなんと心強い事だろう。 彼を応援しよう。
   自分が困った時には相談してみよう。

 「自分が失敗した場合」にはこのようになるのではなかろうか?

 喜:失敗したからこそ、もう一度、自分が試行錯誤して、失敗しない方法を考えるチャンスに巡り合えた。
   失敗した原因を一番よく考えられるのは、失敗した当人のメリットだ。
   失敗内容をオープンにして、他の人にも参考にしてもらおう。
 怒:うまくいかなかったのは自分のせいじゃない。誰かのせいにできないか?
   うまくいっている奴にも失敗はある。それを探し出して罵倒してやる。
 哀:もうダメだ。どうせ自分は何をやってもダメだ。やらなきゃよかったんだ。
   みんなから「ダメな奴」のレッテルを貼られて、無視されるかもしれない。
   人に知られないように何とか隠蔽できないか?
   今度から少しでも失敗しそうな事は避けるようにしよう。
 楽:まあこんなこともあるさ。失敗しない人なんかいない。くよくよ考えてもしょうがない。
   きれいさっぱり忘れて、もっと楽しい事を考えよう。



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